スカイトレインの憂鬱~駅近コンドを買ったのに、バンコクの電車にはもう乗れない!?
今やバンコク市内の欠かせぬ日常風景となったスカイトレイン(BTS)。しかしその始まりはそれほど以前のことではなく、1999年。まだ20年の月日も経っていません。運行開始直後はいつ乗っても車内はガラガラ。当時はDOOR TO DOORの移動スタイルを好むタイ人が、わざわざ階段を使って券売機で乗車券を買い求め、改札を抜け屋外のホームで電車を待つわけがない、などと言われたものです。
しかしそんな穏やかだった日々も今は昔。「段々と混んできたかな」という感覚は以前からあったのですが、この2~3年でその度合いが急速に高まっています。
まず朝晩の通勤時間帯、座れないのは当然としてその込み具合が、徐々に東京のJRやメトロ並みの水準に近づいてきています。駅によっては改札を通る以前に既に長蛇の列。勿論、ホームにも人が溢れている状態です。電車が来ても車内はすし詰め状態。基本的に肌が触れ合うことを嫌がるタイ人気質も手伝って、1、2本見送ることが恒常化しています。
ラッシュ時間を外した日中でも最近はかなり混んでいますね。現在、郊外方面の延伸路線が次々と建設&計画されていますので、決して大袈裟な話ではなく、そう遠くない将来に乗車出来なくなる日が来るのでは?などと思ったりする今日この頃です。
ではこういった状況に対してどのような対応策がとられているのでしょうか?地下鉄では座席の一部を試験的に撤去してみたり、BTSのシーロムラインでは新駅を作って、乗降客の分散を図るなどの計画もあるようです。しかしこの程度では抜本的な解決にはなり得ないでしょう。そもそも「座席を取り払ってしまう」というのは、守られるべき人(お年寄り、子供、女性)が身を置くスペースを、会社側が削っているという捉え方をされてしまいます。スカイトレインや地下鉄と比べて、料金がずっと安いバスにも必ず座席は取り付けられていますし。
かといってこれから複々線化というのも難しいでしょう。車両を増やすにしてもせいぜいあと1両程度でしょうか(現況でも既に以前より1両増えているのですが)。急行・快速・各停と停車駅を振り分けていくのも厳しい感じです。「次の電車はアソーク、オンヌット以外には終点まで停まりませんのでご注意ください」「今度の電車は当駅通過です」などとやっていたら、それこそどの駅のホームからも人が押し出されてしまいそうです。
利用者サイドの現実的な解決策としては、始発駅まで一旦戻って座席確保という方策もあるかもしれません。ただ前述のように、タイではお年寄りや子供、女性には席を譲るというマナーが一般化しています。男性諸氏は仮に必死の?努力をしてGETした“座る権利”も早々に手放さないと、非難の視線を浴びること必至です。
ちょっと奇抜に見えるかもしれませんが、こんなアイデアはいかがでしょう?サイアムやナショナルスタジアム、チットロムなどの駅間はスカイウォーク(連絡通路)で結ばれており、徒歩で移動することが可能となっています。その他の駅でも増設工事が行われている箇所があるのですが、この通路を各駅連結にして、「動く歩道」を設置します。スカイトレインの駅間は1キロ前後とそれほどの距離はないので、数駅程度でしたらそれほどの所用時間はかからないはずです。(通勤時は道路も大渋滞ですから、車移動よりも早いのではないでしょうか)
比較的近距離通勤(数駅程度)の場合は動く通路利用、10駅、20駅を乗車ということでしたら電車利用というように、人の流れも自然に振り分けが為されるようにも思います。工事も少なくとも本線工事よりは簡便でしょう。
バンコク市内および近郊県の各駅周りには「駅近」を売り物にしたコンドミニアムが多数建築されています。それらの価格はかなり割高なのですが、その数字は当然、スカイトレインや地下鉄を利用できる、という大前提で成り立っているわけです。
「なんといっても駅近コンドミニアムは便利!」「車移動は止めて、電車で楽々通勤・通学」などと言っているのは、自身では実際にBTSや地下鉄を利用しない人たちが創り上げている謳い文句です。現状や近未来をしっかりと見据えた対策を講じていかなければ、電車の駅近くのコンドミニアムに住んでいるのに、結局車やオートバイタクシー(モーターサイ)に頼ってしまうという、先祖返り&本末転倒の事態にも成り兼ねません。願わくば数年のうちに“電車に乗れなくなる日”が訪れませんことを・・・
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