不景気だ、不景気だ・・・このご時世にタイ人中間層はどのようなコンドミニアムを買っているのか?
近頃タイ人と話していると、決まって「景気が悪い」話題になります。実のところ、庶民感覚としてはここ最近というより、数年間にわたって景気が上向いていない印象を持っている人が多数でしょう。そんななか、タイ人のミドルクラスはどのような不動産(コンドミニアム)を購入しているのでしょうか。今回は2件の新築コンドミニアムの例を見てみることにしましょう。
こちらは地下鉄ラプラオ駅周辺、新線イエローラインの工事が進んでいます。交通量の多い交差点から徒歩数分、ラプラオソイ23を入った地点に建設されるのが THE ORIGIN RATCHADA –LADPRAO、低層8階建ての計208室というこじんまりとしたプロジェクトです。
ユニットタイプは約25平米~36平米の1ベッドルームが中心で、若年層の地元購入者向けとしてはごく標準的な間取りです。予約は非常に好調だったようで、ほぼSOLD OUTとのこと。新線完成後は二線利用可能な点と、駅から充分徒歩圏(500メートル弱)といったポイントが評価されたのでしょう。ちなみにプリセール価格は約230万バーツ~でした。平米単価では11万バーツ~の数字です。
一方、日本人もよく利用するスカイトレインのスクムビット線、ウドムスックに建設予定なのが LIVING NEST UDOMSUK 30、こちらも低層1棟119室の小規模なプロジェクト。
セールスオフィスはBTS駅に近いところにあるのですが、プロジェクト名が示すようにソイの30というのはかなり奥手の立地で、まったく徒歩圏ではありません。またウドムスック通りには面しておらずサブソイを中に入った位置ですので、アクセス良好とは言い難いですね。仮にモーターサイ(オートバイタクシー)の利用に抵抗が無かったとしても、夕方以降の帰宅時には駅前に長蛇の列が。かなりの待ち時間を覚悟しなくてはいけません。
間取りはこちらもごく一般的な25平米~35平米の1ベッドルームが主体です。プリセール時には200万バーツ以下のユニットがありましたが、現在では230万バーツ~の価格設定。案内をしてくれたスタッフがかなり強引に予約を進めてきたのですが、売れ行きはどうやら今ひとつのようです。(10月上旬で約30%とのこと)
価格的にも似通った2物件ですが、ディベロッパーの知名度や宣伝力の他に、やはり駅からの距離が大きく影響していますね。「スカイトレインや地下鉄の駅に近ければ、郊外地域でも平米単価で10万バーツ超はいまや常識、離れているようであれば割高感がある」といったところでしょうか。
今回取り上げた2つのコンドミニアムは、中国人をはじめとした外国人投資家の先行予約ありき~といった性格のものではなく、あくまで地元タイ人の自己居住用として販売告知されている“実需”プロジェクトです。
一昔前でしたら、平米単価で10万バーツという数字はかなりの高級物件のイメージでした。また実際その値段で、バンコク市内の中心部で充分物件を購入できたのです。その意味では、近年の価格変動がいかに大きなものであったかを改めて思い知らされます。
需要喚起のため、政府は不動産売買時の諸経費をほぼ0とする優遇政策を打ち出していますが、完成済み物件の在庫は積み上がる一方で、抜本的な解決とはいかないようです。一階、二階、三階とテンポ良く階段を駆け上がってきたのですが、息が乱れて踊り場で休憩中といった感のタイ(バンコク)コンドミニアムマーケット。スカイトレインや地下鉄の新駅は次々とお披露目デビューしていくのですが、それらの各駅周りに続々と大型コンドミニアムが建設され、順調に予約済みとなって、実際に居住者で埋まっていくのでしょうか、今までがそうであったように・・・
知り合いのタイ人に聞いてみると手持ちの中古コンドミニアムを売りに出しているが、極端にレスポンスが悪い~少なくともここ20年の間では経験がない、と浮かない顔つきでした。
相当に割安な出物をバンコク都市部や地方でもかなり見かけるようになっていますが、購入目的とよく照らし合わせ、実際のアクションについては慎重な決断が求められる状況が、今しばらく続きそうです。
*文中の数字等は2019年10月時点のもので、変更になる可能性があります。
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