LOOKING BACK 2011~2019 TM30、PM2.5、コンドミニアム供給過剰・・・タイはどこへ向かうのか?
時の経つのは早いもの、本サイトを開設してからおよそ9年の月日が過ぎました。今回はこの9年間に起きたタイに関するさまざまなトピックを振り返り、これからのタイの行方を占ってみることにしましょう。
◎TM30
外国人(タイ人大家さんも含めて)のあいだで、今最大の関心事はなんといってもこのTM30.最近は英字新聞の一面記事としても取り上げられており、関心の深さが伺えます。一般に日本人は「えっ?なんか面倒くさいなあ」という反応になりますが、権利意識の強い欧米人にとっては看過できないシステムに映るようです。
英文フォーラムでは「長年タイに住んできたが、別の国に移住する」「毎年、タイでの数か月のロングステイを楽しみにしていたが、期間を短縮する」などのコメントが多数。アパートメントを経営しているタイ人オーナーのなかには、報告作業の煩雑さに耐えかねて、“外国人お断り”のノーティスを掲げるケースも出てきています。
エージェント(ビザ関連、不動産関連双方)さんも今回のTM30については“お手上げ”状態、完全に代行しきるというのは実際困難でしょうね。しかし朗報が。一部の報道では2~3か月以内に申請システムが大幅に簡素化されるというニュースも。タイ入国時の入国カードも廃止されるようです。制度そのものが撤廃~ということではないようですが、詳細発表を待ちましょう。
2019年6月記事
TM30(外国人居住報告書)について、「タイ不動産」をキーワードとして捉えてみると・・・
◎PM2.5
現象自体は以前からあったのでしょうが、人々が特に意識するようになったのはここ2~3年のような気がします。バンコクでは年末年始の数字が看過できないレベルになっていますね。今年は早くも、9月後半の時点で黄色信号がともっているようです(少なくとも私は既に咳等の症状が出始めました・・・)
市内各エリアでもレベルの差がかなりありますし、郊外地域に行けばOKということでもないので、対処のしようが難しいですね。なるべく外出しないように~と言われても、ほとんどの人は「ハイ、そうですか」というわけにはいかないでしょうし。今後の抜本的改善というのはおそらくは期待薄でしょうから、各自最大限の自衛策を考えるしかなさそうです。
最近のコンドミニアムでは、PM2.5を除去する換気システムを売りにしている物件も登場してきています。これからは室内空気清浄機の設置が、賃貸運営の際の必須アイテムになっていきそうです。
◎洪水
バンコクエリアでの洪水は2011年度の被害が甚大でした。
2011年11月記事
10月30日 バンコク都心部(BTS沿線)の様子
この時は市内北部が広範に冠水し、バンコクが全面的に沈没するのではと緊迫した日々が続きました。実際に飲料水や食料品が棚から消え去り、学校も休校。市内から脱出を試みた人も多かったのです。それ以降は現在に至るまで、全体的には落ち着いた状況が続いています(その都度、スポット的に大きく冠水する場所はどうしてもあるのですが)
また以前と比して、水が引くスピードが随分と速くなったような気もします。アソークやプロンポンの繁華街でも豪雨で10~30センチの水嵩になる時もありますが、比較的短時間で排水されるようになりました。
しかしタイ全体ということですと、毎年各地方で洪水被害が発生しています。今年は東北タイ各県に多大なダメージが。ちょっとイメージしにくいですが、パタヤでも大規模な洪水(道路から海に注ぎ込むような)が生じることがあります。バンコク以外の自然豊かな場所でのロングステイというのも魅力的ですが、降雨&洪水の履歴については事前によく確認されることをお勧めします。
◎物件供給過剰
外国人の購入しやすいコンドミニアム(分譲マンション)のオーバーサプライについては、本サイトでも度々お伝えしています。
2018年3月記事
バンコクのコンドミニアムは45000室が売れ残り! 駐在員の数も月々の家賃も横ばい状態が続く
2018年6月記事
そして誰も買わなくなった・・・タイ不動産投資~その幼年期の終わり
バンコクに限らず、パタヤやプーケットなどにおいても同じ(より深刻な)状況。新規物件の供給数は各年によってかなりバラツキがあるのですが、「売れ残り」「貸し残り」のユニット数がひたすら積みあがっていくことに変わりはないでしょう。
(撮影/Tanapol Kaewpring)
ポジティブな側面を挙げるとすれば、タイには日本の大阪や名古屋にあたるような第二、第三の都市は無いので、バンコクおよび近県への人口流入は今後も続くことが予想される点でしょうか。タイは出生率が思いのほか極めて低く、今後の人口増加は見込めないのですが、このポイントについては鉄板事項として捉えてもよいかと。
賃貸ターゲットとしては外国人駐在員およびその家族、なかでも日本人が第一候補であるのは勿論ですが、テナント確保については熾烈、激烈の度合いが強まる一方ですので、“闘う”気構えがオーナーさんに求められるようになってきています。
外国人居住エリアでの競争激化やTM30リポート提出義務(外国人に賃貸した際は必須)のことを考えると、地元のタイ人相手に賃貸ということも充分考えられるのですが、こちらも一長一短、加えて向き不向きといった側面も出てきますね。
2017年10月
タイのコンドミニアムオーナー覚え書き その②~テナントさんは“地球人”~
今後のバンコクでは(パタヤなどは既にそうなっていますが)、中国系に加えて、インド系およびアラブ系の観光客&ステイヤーが増加してくるように思えます。おそらくはバンコクマップ~このエリアは欧米系が多く日本人はこのエリア中心といった~の“分布図”も変わってくるのではないでしょうか。
*文中の数字等は各記事掲載時のものです。また本文の内容はあくまで私見にとどまるものですので、ご了承ください。
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