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新型肺炎とタイ不動産~コロナが去った後に残るのは心のウイルスと空っぽの部屋?新型肺炎とタイ不動産~コロナが去った後に残るのは心のウイルスと空っぽの部屋?

[2020年2月26日(Wed) 537 views]

貴方がタイでコンドミニアムを所有していて、エアビー運用を行っていたとします。ある日現地での管理運営を委託していたエージェントから、こんな連絡が入ってきたらどうしますか?「先週から滞在していた外国人ファミリーの一人が発熱、医療機関にてコロナウイルス感染が確認され、他の家族と共に施設に隔離されることになりました。管理室スタッフからは室内除去作業等についての即実施を求められていますし、他の居住者も騒ぎ始めています。どうしましょうか・・・」

マスクをして駅で電車を待っている女性たち

今回の新型肺炎の世界的流行については連日、あらゆるメディアで報道されていますね。今後の推移については様々な予測が立てられていますが、今回はタイ不動産とのリンクについて考えてみることにしましょう。

タイには近年、年間1000万人を超える中国人が訪れています。容易に想像できることですが、そして既にその現象は始まっていますが短期観光客は激減、特に団体客をメインターゲットとしていた宿泊施設や飲食店、土産物屋などは壊滅的な打撃を被っています。仮に早期に事態の収束が可能になったとしても、速やかな回復を見込むことは難しいでしょう。

そもそもタイのコンドミニアムでのエアビー運用は違法。しかし現実には、罰金等のペナルティーを覚悟したうえでの“確信犯”~いけるところまでいってやろう~といったオーナーも少なくなかったようです。

タイのエアビーに関する参考記事
あなたの買ったタイのコンドミニアムがAirbnb~民泊の舞台になったなら
(2016年6月)
タイの民泊(Airbnb)やコンドミニアム供給過剰の行方は? タイ不動産2018 Q&A集
(2018年7月)

本サイトでは随分以前から、タイのコンドミニアム(分譲マンションの区分所有)での日割り、週割りによる短期利用については警鐘を鳴らしてきました。冒頭に挙げた例は極端に聞こえるかもしれませんが、現況自室をエアビー運用されている方は、今後こういった事態に遭遇する可能性もある、ということを想定されたほうがよいかもしれませんね。

中国語の不動産のチラシ

タイ不動産(コンドミニアム)マーケットは、数年前から国内実需を遥かに上回るペースで新規ユニットの供給が行われてきました。その分をカバーしてきたのが中国人をはじめとする外国人購入者(他に香港・台湾・シンガポールなど)です。各ディベロッパーは競ってタイ国外での販売を促進、現地での予約会を積極的に展開し、バンコクやパタヤのセールスオフィスでは中国人スタッフの姿をよく見かけるようになりました。

チャイナパワーがやってきた~中華風のセールスオフィス イン バンコク
(2015年4月)
海外でのセールス強化を図るタイのコンドミニアム 香港&シンガポール編
(2015年8月)

英語と中国語で書かれた案内図

しかし昨年あたりから,コンドミニアム価格の高騰やバーツ高などの影響もあって、その勢いに翳りが見え始めます。

タイ不動産ディベロッパー勤務 10年選手のタイ人の本音~来年、異業種に転職します~
(2019年5月)
いくらでも安くするからまとめてどう? コンドミニアムの叩き売り会場と化した今のパタヤ/遂に決定的、中国人投資家のタイ不動産離れ強まる
(2019年7月)

この逆風下での新型肺炎の世界的感染拡大、インバウンド関連(不動産絡みでいえば前述のエアビー運用など)のみならず、今後のタイ不動産マーケットにも大きな影響が生じることが予想されます。下記の英文記事はタイの代表的な英字紙
BANGKOK POST紙掲載のもの。「タイの各ディベロッパーは中国人バイヤーの支払期間を猶予せよ。さもないと・・・」という内容です。

Calls for longer condo transfers for Chinese
(2020年2月21日)

タイの新築コンドミニアムは予約時に物件価格の一部を支払い、完成時に残金の一括払い込みとなります。(外国人の場合) 現況では訪タイそのものに制限がかかってきていますし、海外送金作業にも支障が生じている(それどころではない)人も多いはずです。残金を支払わなければ予約権利は消失(払い込み分も没収)、該当ユニットはディベロッパーに差し戻されるわけですが、

“Developers should not seize the unit back as condo oversupply is severe. Doing so will amplify the problem,”

との一文が記事中にあります。本サイトでも度々お伝えしているように、既にマーケットは超供給過剰状態。大量の差し戻し部屋を捌くパワーは各ディベロッパーには残っていないでしょう。1~2年前に予約を取っていたプロジェクトはちょうど完成時期を迎えますので、今後の外国人購入者の登記状況に留意していく必要がありそうです。同じく2月24日には「バンコクの空き室は10万ユニット以上、今後は更にその数が増加する見込み」との記事も掲載されています。

Bangkok has 100,000 empty apartments and could soon have more

TM30の書き方

さて、今回の新型肺炎では感染者の“行動履歴”が大きな焦点となっています。感染力が強いうえに潜伏期間が長いこともあって、各人の移動記録に関心が集まっているわけですが、本サイトをお読みいただいている方(&既にタイで物件を所有していて賃貸中の方)でしたら、「履歴」という言葉を聞いて TM30という単語を連想された方も居られるのではないでしょうか?

TM30(外国人居住報告書)について、「タイ不動産」をキーワードとして捉えてみると・・・
(2019年6月)

TM30・・・簡単にいえば、「タイ在住の外国人はその居住場所を常に明確にすること。一泊でも届け出居所以外に宿泊した場合は、其の度毎に報告の義務あり」という厳しいお達し。外国人に部屋を貸している際には部屋のオーナーにその報告義務があることから、コンドミニアムオーナーやアパートメント経営の外国人&タイ人から改善の声が寄せられており、当局もシステムの簡素化を検討しているとの報道もありました。

しかし残念ながら、今後は外国人の出入国および在タイ中におけるスクリーニングはより厳格さを加えていくことになりそうです。「不動産」とは文字のごとく動かない資産~人間が移動してこそたどり着ける、活用できる資産です。そして居室内では日々、“濃厚接触”が繰り返されていることになります。フロントチェックのあるホテルと比してコンドミニアムやアパートでは居住者(賃貸人)が友人や家族、その他第三者を室内に招く(&宿泊させる)機会も多いはずです。

今回のウイルスは感染拡大が全世界的規模となっており、また周期的に流行が繰り返される可能性も指摘されています。以降も更なる別種のウイルスが登場することも否定できません。これらの諸点を鑑みると、コンドミニアムやアパートメントのオーナーは「感染源ともなるかもしれない人間を迎え入れている&感染が拡大するかもしれないスペースを提供している」責務を負う立場にあるともいえます。その重さは“TM30ショック”時とは比較になりません~まさに人命がかかっていますので。タイ(外国)で居室を所有している方で賃貸中の方は、契約期間の長短に関わらずその状況把握に細心の注意を払うことが求められています。

TM30の案内

最後に明るい可能性について触れましょう。

ポジティブな予測としては、今後タイがシェルター(一時避難/移住)的な役割を果たすこともあり得るという点でしょうか。今回の新型肺炎感染以前にも、例えば香港から他国(マレーシア等)へ移住していくなどの動きはありました。もともと外国人にとって住みやすい(特に日本人にとって)環境が整っているタイは、その有力な候補となる可能性があります。その暁にはコンドミニアムの需要が増し、マーケットが活況を呈すという期待も持てるかもしれません。

参考記事
海外各国の移住&投資セミナー@バンコク やっぱりタイが最高のチョイスではないだろうか
(2019年1月)

ただそのためには、以下の2つのポイントをクリアする必要がありますね。

1. タイ国における感染拡大が広がらず、封じ込めに成功する
2. タイ国に渡航や滞在を拒否されない国(国籍)であること

現状では日本、2についてちょっと厳しい状況でしょうか(タイ国に限ったことではありませんが)・・・

日本人向け医療施設のチラシ

先日スカイトレインに乗車していたら、外国人親子~ご両親と可愛い二人のお子さんが賑やかに途中駅から乗り込んできました。出身国までは分からないのですが明らかに中華圏の人です。車内には欧米人の姿もあったのですが、居並ぶマスク姿の表情にサッと緊張の度合いが高まり、なかには刺すような視線で家族を見つめる人も。      

しかし一人のタイ人女性がサッと立ち上がり、にこやかに子供たちに席を譲ろうとしました。タイではよく見かけるごくありふれた一コマなのですが、今この時期に変わらない 「普段」の優しさを示す振る舞いが、逆に目を惹いたのですね。願わくば、こういう光景が当たり前だった穏やかな日々が、少しでも早く戻ってきてほしいという思いが胸にこみ上げてきました・・・
 
路上で遊ぶ子供の写真

今回は長文で失礼しました。最後に一言ボヤキを。日本の海外広報、もう少しなんとかならないものかと。常に情報を発信していく、英語以外にも数か国語で。そういうセクションを設けるべきではないかと。「見えない、分からない」と思われるのが一番危険です。異文化間では。良い知らせも悪い情報も逐一、明確に発信していく。そういう姿勢を持たないと日本および日本人についての印象がひたすら悪くなり、その感情は人々の心に根付いてしまいます。心のウイルスにはワクチンが効きません。消し去ることに長い年月が必要になりそうで、それが今、気がかりです。

※本文については2月下旬時点での状況に基づいた個人的な見解を記したものです。
※タイにおける新型肺炎関連の情報取得に関しては、在タイ日本国大使館のホームぺージを参照されることをお勧めします。

在タイ日本国大使館ウェブサイト
https://www.th.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html

※タイ滞在(短期~長期)などに関するご質問があれば、お気軽に下記フォームよりお問い合わせください。分かる範囲で可能な限りお答えするようにいたします。

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